はじめに
Blenderで作品を仕上げるうえで欠かせないのが「カメラ」です。どんなに魅力的なモデルやシーンを作っても、最終的にレンダーされるのはカメラを通して見える視点です。つまり、カメラの設定次第で作品の印象は大きく変わります。ここでは、Blender初心者がまず覚えておきたいカメラの基本について、操作方法からレンダーに役立つ設定まで解説します。
カメラの役割とは?
カメラは、シーンを「どう見せるか」を決める重要な要素です。現実のカメラと同じように、位置や角度、レンズの焦点距離を変えることで、見え方が大きく変化します。被写体を強調したり、全体を広く見せたりと、表現の幅を広げることができます。
カメラの基本操作
Blenderに最初から1つのカメラが配置されていますが、自分で追加することも可能です。追加は「Shift + A → カメラ」で行えます。
カメラ視点に切り替えるにはテンキーの「0」を押します。通常のオブジェクトと同じように、G
で移動、R
で回転できるため、好きな位置に配置できます。
また、ビューの位置をそのままカメラに反映するには「Ctrl + Alt + 0」が便利です。モニターで確認した視点をそのままカメラに固定できるので、直感的に構図を決められます。

カメラの設定
カメラを選択した状態で「プロパティ → カメラ」から詳細設定が行えます。
- レンズ(焦点距離):デフォルトは50mm。数値を小さくすると広角になり遠近感が強調され、大きくすると望遠になり奥行きが圧縮されます。
- 被写界深度:ピントを合わせたいオブジェクトを選ぶと、それ以外がぼけて写真のような効果を出せます。雰囲気を重視したい場合に活躍します。

- コンポジションガイド:三分割法や中心線を表示させることで、バランスの良い画面構成を作れます。

シーンのカメラ選択
シーンに複数のカメラを配置した場合、レンダー時に使うカメラを指定する必要があります。
選択したカメラを「Ctrl + 0」でアクティブカメラに設定できます。
また、「シーンプロパティ → カメラ」からも変更可能です。
アニメーション制作では、タイムラインにマーカーを追加してカメラをバインドすることで、フレームごとに自動でカメラを切り替えることもできます。

レンダー時に役立つ設定
カメラを使ってレンダーする際には、出力設定も重要です。
- 解像度:「出力プロパティ」で設定。デフォルトは1920×1080(フルHD)ですが、用途に応じて4Kや縦長に変更可能です。
- 出力形式:静止画ならPNG(透過対応)やJPEG(軽量)が便利。動画ならFFmpeg → MPEG-4を選ぶのが一般的です。
- レンダーエンジンの違い:Cyclesではリアルな光学効果が得られ、Eeveeでは高速プレビューが可能ですが一部効果は設定で有効化が必要です。
これらの操作については、基本の手順とコツを別記事で解説しています。
👉Blenderのレンダリング基本ガイド|EeveeとCyclesの使い分け
まとめ
Blenderのカメラは、作品を「どう見せるか」を決める大切な要素です。操作はオブジェクトと同じ感覚で行えますが、焦点距離や被写界深度などの設定を理解すると、表現力が大きく広がります。さらに、複数のカメラを使い分けたり、レンダー時の解像度や出力形式を工夫することで、用途に合わせた最適な作品を仕上げられます。まずは基本操作を押さえ、実際に視点を動かしながらカメラの効果を体験してみましょう。