はじめに
3Dモデリングを行う中で、「オブジェクトを別のオブジェクトの位置に正確に合わせたい」「頂点同士をぴったり重ねたい」という場面はよくあります。こうしたときに役立つのが、Blenderのスナップ機能(Snap)です。スナップを使うことで、移動や回転を行う際に他の頂点・面・グリッドなどに吸い付くように合わせることができ、精密な配置作業をスムーズに行えます。この記事では、スナップ機能の基本操作から応用までを解説します。
スナップ機能の基本
画面上部のツールバー中央にある磁石アイコンがスナップ機能のスイッチです。クリックして有効にすると、オブジェクトを移動する際に自動で指定した対象に吸着します。ショートカットキーは Shift+Tab。頻繁に使うので覚えておくと便利です。

スナップの対象は磁石アイコン右のメニューから選択できます。主な種類は次の通りです。
| 種類 | 説明 |
|---|---|
| インクリメント(Increment) | グリッド単位でスナップ。規則的な配置に便利。 |
| 頂点(Vertex) | 他の頂点に吸着。細かい位置合わせに最適。 |
| 辺(Edge) | 他のオブジェクトの辺上にスナップ。 |
| 面(Face) | 面上の位置にスナップ。地面や壁などに配置したいときに便利。 |

スナップを使った移動操作
オブジェクトを選択し、Gキーで移動を開始します。その状態でマウスを動かすと、選択したスナップ対象に吸い付きます。
また、スナップを常に有効にしていなくても、Ctrlキーを押しながら移動することで一時的にスナップを有効にできます。必要な場面だけスナップを使いたい場合に便利です。

スナップ基準点(ターゲット)の設定
スナップ時にどの点を基準にするかも設定可能です。
磁石アイコン横の「Snap With」メニューから選択できます。
- 近接(Closest):最も近い部分を自動で合わせる(デフォルト設定)
- 中心(Center):オブジェクトの中心点を基準にスナップ
- 中点(Median):選択した複数頂点の中央にスナップ
- アクティブ(Active):最後に選択した要素を基準にスナップ
特に「アクティブ」は、複数オブジェクトの位置合わせを行うときに役立ちます。

編集モードでのスナップ
オブジェクトモードだけでなく、編集モードでもスナップ機能は有効です。
たとえば、頂点を別の頂点に重ねたい場合は以下のように操作します。
- 頂点を選択
Gキーで移動Ctrlを押しながら目的の頂点をクリック
これで頂点同士がぴったり重なります。建築モデルなど、正確な形状を作りたいときに欠かせないテクニックです。

まとめ
Blenderのスナップ機能を使えば、手動で細かく位置を調整する必要がなく、正確なモデリング作業が短時間で完了します。
頂点・面・辺・グリッドといったスナップ対象を使い分けることで、建築・プロダクト・アニメーション用モデルなど、あらゆる場面で精密な配置が可能になります。
慣れないうちは手間に感じるかもしれませんが、スナップを自在に使いこなせるようになると、モデリング作業の効率が大幅に上がります。

